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Columns / Stress check

実施者を外部に委ねるとき、社内に残る役割

実施者は外部に委託できます。それでも社内に残る役割があります。委託を決める前に、その分担を見ておきます。

公開

ストレスチェックの実施者を外部に委託する会社は多くあります。社内に医師も保健師もいない。看護職はいるが所定の研修を受けていない。あるいは要件を満たす方はいるけれど、その方が人事の決裁にも関わっている。理由はどれも実務的なものです。

委託そのものは制度が想定している形で、迷うところではありません。詰まるのは、外部に出せば手が離れるという前提で決めたときです。

実施者を委託しても、社内に残る役割はあります。会社でなければできない部分が、制度に組み込まれているためです。

委託できるのは、検査を回す部分

実施者が担うのは、検査の企画、調査票の項目の選定、結果の評価、高ストレスかどうかの判定です。専門的な判断にあたる部分なので、外部の医師・保健師に委ねられます。個人の結果を本人へ通知するところまで含めて委託することもできます。

委ねられないのは、事業者としての判断と、社内の記録として残るものです。ここが残る役割になります。

委託した場合の分担
  1. 実施の前

    衛生委員会で調査審議する

    実施体制、調査票、対象範囲、結果の扱い。委託先を決めたことも含めて、審議するのは会社。外部の実施者は資料の作成をお手伝いする。

  2. 実施の前

    実施事務従事者を決める

    調査票の配付や回収、名簿の受け渡しに社内の方が関わるなら、その方は実施事務従事者になる。解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ方は就けない。

  3. 実施

    従業員へ案内する

    会社の名前で出す文書。何のために行うのか、結果を誰が見るのか。受検率はここで決まる。

  4. 実施のあと

    結果を本人へ通知する

    実施者が担う部分。本人の同意がないかぎり、個人の結果は会社に渡らない。

  5. 申出があったら

    面接指導の申出を受け付ける

    受け先は社内に置く。申し出たこと自体が個人の情報なので、誰が受けるかを先に決めておく。

  6. 面接のあと

    就業上の措置を決める

    医師の意見を聴いたうえで判断するのは事業者。労働時間や配置を動かせるのは会社だけ。

  7. 一年を通して

    記録を保存し、報告する

    検査結果の記録は5年間の保存が求められる。常時50人以上の事業場では所轄の労働基準監督署へ報告書を出す。提出するのは事業者。

実施事務従事者でつまずく

中小企業でいちばん多いのがここです。総務と人事を同じ方が担っている会社では、調査票を配る方が人事の決裁にも関わっている、という状態になりがちです。

取れる手は3つあります。名簿と調査票の受け渡しまで含めて外部に寄せる。社内の別の方に実施事務従事者を担ってもらう。あるいは、その方の担当から人事の決裁を外す。どれを選ぶかは会社の事情によりますが、実施の前に決めます。始めてしまうと、あとから直せません。

委託先が替わっても、記録は会社に残る

委託は年ごとの契約になることが多く、実施者が替わることがあります。そのときに前年の結果や集団分析の資料が手元にないと、経年の比較ができません。数値が高いのか低いのかは、前年と並べてはじめて判断できます。

契約のときに、どの資料をどの形で会社が受け取るのかを決めておきます。個人の結果は本人の同意がなければ会社に渡らないので、受け取るのは集団分析と、実施状況の記録です。

委託を決める前に確認する4つ

  • 誰が実施者になるのか

    会社名ではなく、実施者として名前が出る方の資格を確認します。医師、保健師、または所定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師が務めます。衛生委員会の資料にも、この方の名前で載ります。

  • 実施事務従事者を社内に置くかどうか

    名簿の受け渡しや未受検者への声かけを社内で行うなら、担当する方は実施事務従事者になります。誰にするかを先に決め、その方が個人の結果を扱う立場になることを本人に伝えておきます。

  • 結果が本人にどう届くか

    画面で見る形か、封書か。会社を経由しないで届くのか。未受検の方や、結果を見ていない方をどう把握するかも、ここに関わります。

  • 集団分析を、どの単位でどこまで出すか

    部署の単位と、人数の下限。会社が受け取る資料の形。読み解きの場に実施者が入るかどうかも、契約の時点で決められます。

ストレスチェックを実施する義務を負うのは事業者です。委託は、その一部を専門職に担ってもらう形になります。

相談の入口としては、分担の話から

人事・総務のご担当者からいただくご相談は、「実施者をお願いできますか」から始まることが多くあります。ただ、実際に決めていただく必要があるのは、ここまでに書いた分担のほうです。

当事務所は保健師として実施者をお引き受けしますが、社内に残る部分についても、誰が何を担うかの整理からご一緒します。衛生委員会に出す資料の形も、そこで決まります。

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